甘々とロマンス中毒

口を噤むあやちゃんが私の頬の中心をふにと掴んだり、ちょんと軽く押したり、好き勝手に遊ぶ。

「ひゃあ…っ」身を捩った私を前に、意地悪度120%の王子さまはつまらなさそうにそっぽを向いた。

む、と唇が三角に上がる私。あやちゃんから聞いてきたのにね。心に引っかかる小さなハテナと、不満を留めてお話の続きをする。


「千花くん、幼稚園の途中で引っ越したからずっと会ってなかったんだけど、今は同じ学校に通っててね、入学式で声かけられたの」

「へえ」

一咲ちゃん、て。呼ばれたのびっくりしたなぁ。

変な声が出たし、人見知りも発動して菖くんの後ろに隠れたのだ。

「私のこと覚えてるのすごいよね。千花くんと一番遊んでたの菖くんなのに」

私は、いつも菖くんにくっついてて、千花くんと話した記憶は教室でお絵描きしてたとき…だったような。

「千花くんね、数学が得意で、私が先生に当てられて分からない問題も、こそっと教えてくれるんだ」

「……」

「面倒見良いって言うか、優しい…真面目、せいじつ?」

「…ん」

曖昧な相槌を返すあやちゃんである。小首を倒して顔色を伺った。

私のお話、つまんないのかなぁ。


「ねー、あやちゃん聞いてる?」

「聞いてるよ。それで、千花がなに?」