甘々とロマンス中毒

頭の上にクエスチョンマークが描かれた。

「覚えてないんだ?」耳の奥に吹き込まれる言葉の欠片は、どこか余裕がなさそうだ。

一つ増えたクエスチョンマークが、明るい光をぴこんっと灯す。もしかして、もしかする?戸惑う心に、ありもしない疑惑が浮上する。


「私、浮気してないよ?(やましいこと、疑われてるの?)」

「そか」と、息を吐く麗しい顔に、いつもの甘めな微笑みはなく、無表情だけが貼り付いている。

「あやちゃん以外の男の子に、他所見したことないですよ?」

「んー、ダメ。やり直し」


ことさら掠れた低めの声。肩が僅かに跳ねた。

意地悪増し増しなあやちゃんが、親指と人差し指を使って、私の唇の端を柔らかに挟む。あやちゃんの悪戯に鼓動が加速する。


「む、にゅ…。ヒント欲しいでふ(す)」

「菖と、ミウちゃんと」

菖くんと美羽ちゃんと———…

「一咲の隣にいた爽やかクン。……誰?アイツ」

記憶のピースが、カチッと埋まった。
……あ、インスタのことだ。


千花(ちか)くん?」


私に触れる、あやちゃんの指が離れて。あやちゃんは、顔の横に流れる黒髪を攫い、くしゃ…と掻いた。


「そ。チカくんね。一咲、その()と仲良いんだな」

「幼稚園まで一緒だったの。菖くんと、お兄ちゃんと、よく公園でサッカーしてた子だよ」

「(…チカ、ちか。千花……あー………思い出したわ)」