体を包んでいた熱が、ぷしゅう〜…と蒸発した。
そらした視線を菖くんに預ける。浮かせた踵はほんの数ミリ。少しだけ上げて「ねぇ、あやめくん」と、覗き込んだ。
「もう、いいかな?学校行こ。遅刻しちゃう」
「咲がオレの“義姉さん”になるのは心外だわ」
「?」
…………はて、なんと?
言葉が重なった。
通勤通学ラッシュの喧騒に紛れて、私の耳に残されたのは、なにかが『心外』になること。それは菖くんにとって、よろしくないらしいの。
首を横に倒す私。
無機質な双眸を細める菖くん。
同い年幼なじみの、我慢比べの見つめ合い。
も一回、言って?をお願いする前に、二人の合間で軽やかな通知音が響いた。
「咲の、鳴ってね?」
菖くんに言われ、掌でお休み中だったスマホを顔の前に引き寄せる。ロック画面に表示されたメッセージを、人差し指で優しく押した。
差出人。
《おはよ》
———ピコン 可愛い音が続いた。
《一咲便、今日欲しいんだけど》
———…雪村 あやみ あやちゃんだ。
……一咲のこころは“きゅう”じゃなくて“きゅん”です。
そらした視線を菖くんに預ける。浮かせた踵はほんの数ミリ。少しだけ上げて「ねぇ、あやめくん」と、覗き込んだ。
「もう、いいかな?学校行こ。遅刻しちゃう」
「咲がオレの“義姉さん”になるのは心外だわ」
「?」
…………はて、なんと?
言葉が重なった。
通勤通学ラッシュの喧騒に紛れて、私の耳に残されたのは、なにかが『心外』になること。それは菖くんにとって、よろしくないらしいの。
首を横に倒す私。
無機質な双眸を細める菖くん。
同い年幼なじみの、我慢比べの見つめ合い。
も一回、言って?をお願いする前に、二人の合間で軽やかな通知音が響いた。
「咲の、鳴ってね?」
菖くんに言われ、掌でお休み中だったスマホを顔の前に引き寄せる。ロック画面に表示されたメッセージを、人差し指で優しく押した。
差出人。
《おはよ》
———ピコン 可愛い音が続いた。
《一咲便、今日欲しいんだけど》
———…雪村 あやみ あやちゃんだ。
……一咲のこころは“きゅう”じゃなくて“きゅん”です。



