「お父さん、お父さん、どこ行くの?もう夜だよ?寝る時間だよ?」
「うるせぇよクソガキ」
「キャッ、、、えぇぇぇぇぇん」
「ちょ、あなた、萌音を泣かせないでよ。」
「あ?俺はこの家の大黒柱だぞ?俺に指図するんじゃねぇ。」
「確かにあなたには助かってるけど、、、。」
「けど、なんだ?あ?言ってみろよ。」
「な、なんでもないわ。」
「ウソつけぇ、絶対何回言おうとしたよなぁ」
私のパパは、不良だ。
毎日、ママを殴っていた。
毎日、私とママは怒鳴られていた。
毎日、夜遅くに出かけて行った。

小さいころの私は、ただただママとパパがけんかしてほしくなかった。
仲直りしてほしかった。
、、、けど、そうはいかなかった。

「萌音。今日からママと二人で暮らすのよ。」
「えぇ?なんで?パパは?」
「パパは、もうパパじゃないのよ。」
「萌音のパパはパパだもんっ!パパじゃなくなるなんて、おかしいもんっ!」
小2の時、両親が離婚して、ママと二人で暮らすようになった。
毎日怒鳴られてて悲しかったけど、いざパパがいなくなるのは、寂しかった。
いや、寂しかったのではなく、お父さんがいない、ということが怖かったのだろう。

今となっては、ママと二人で平和に過ごしている。
ママの決断は間違ってなかった。
私は、パパとママを見て、絶対不良とはかかわらないようにしよう、そう、心に決めていた。