知らないことは知らないままで

私はポケットの中から
四つ葉のクローバーを出して
謙ちゃんの手にそれを乗せた
私がどうしても渡したかった物

謙ちゃんは一瞬だけ不思議そうな顔をした
でも謙ちゃんは何も聞かなかった


ただ、小さく笑って、受け取ってくれた
それだけで私の胸の奥が
少しだけ、痛くなった


「羽衣、行ってくるな。」


私は何も言わずに手を振って
謙ちゃんから目を逸らした



あの後私は施設に行って
謙ちゃんの元には、
もう、戻らなかった



〜過去編 第2章(完)〜