掌に見えないなにかをずっと握りしめたまま。お正月は、自分が陶史郎さんの好きにされてるか、陶史郎さんが一花から離れないかのどっちかで、いつでもどこにも陶史郎さんがいた。
新年会を終わりまで我慢できなかった理由は気になったけど、そんなことは無かったようにいつもと同じ優しい陶史郎さんだった。握りしめてた何かをときどき忘れた。
「若、一花お嬢さんは連れていけませんよ」
会社の社長でもある陶史郎さんを、仕事始めの朝に迎えにきた玉置さんもまるで変わらない秘書ぶりで。
「融通が利かないねぇお前は。しょうがないから行ってくるよ、樹。玉置が余計な仕事を増やさなかったらすぐ帰るからね」
「行ってらっしゃい」
玉置さんのせいにして笑んだ、三つ揃い姿の陶史郎さんから一花を譲られる。おでこと唇に吐息の温もりが押し当てられて、扉がゆっくり閉まった。
いつもどおりの二人だった。なんとなく、陶史郎さんも玉置さんも全部を見せてない気がした。なんとなく。
心臓がチクチクして、手の中に戻った。硬い石みたいな玉置さんの心が。
新年会を終わりまで我慢できなかった理由は気になったけど、そんなことは無かったようにいつもと同じ優しい陶史郎さんだった。握りしめてた何かをときどき忘れた。
「若、一花お嬢さんは連れていけませんよ」
会社の社長でもある陶史郎さんを、仕事始めの朝に迎えにきた玉置さんもまるで変わらない秘書ぶりで。
「融通が利かないねぇお前は。しょうがないから行ってくるよ、樹。玉置が余計な仕事を増やさなかったらすぐ帰るからね」
「行ってらっしゃい」
玉置さんのせいにして笑んだ、三つ揃い姿の陶史郎さんから一花を譲られる。おでこと唇に吐息の温もりが押し当てられて、扉がゆっくり閉まった。
いつもどおりの二人だった。なんとなく、陶史郎さんも玉置さんも全部を見せてない気がした。なんとなく。
心臓がチクチクして、手の中に戻った。硬い石みたいな玉置さんの心が。



