溺愛銃弾 〜メルティ・your・バレット~

「ミルクの用意してたの?僕も着替えてくるからね」

「うん」

「若・・・!」

酸素が足りなくて、喘いだ口の端を指で拭ってくれた陶史郎さんは、呼び止めた玉置さんの脇を素通りしてリビングを出て行く。

「・・・大丈夫、ですか?」

陶史郎さんが話を聞かないのはよくあること。だけど。玉置さんがすごく苦しそうに見える。たぶん陶史郎さんは怒ってる。

なにかあったのかな。・・・心臓がぎゅっとなる。急に空気が薄くなる。

「いえ・・・すみません、騒がせてしまって」

首を横に振った。謝ってほしかったんじゃなくて、理由が知りたかった。でも。陶史郎さんが教えてくれないことは、訊いちゃいけない。

「私は戻りますので。・・・樹さん」

「はい」

「若を頼みます」

「・・・はい」

目礼して踵を返した玉置さんをそのまま見送った。

なにを頼まれたのか、よく分からなかった。ただ、自分にそれを受け取る責任があるって思ったから。

・・・渡されたものは硬く残った。
石のような手触りで。