溺愛銃弾 〜メルティ・your・バレット~

鯛や海老が盛り付けられた仕出しのお料理に、一花を気にしながらときどき箸をつける。

豪華でおいしそうなのに味がよくわからない。陶史郎さんが誰かと話してるあいだは、何となくじっとしてる。

「若姐さんも一杯!」

「すみませんねぇ、嫁は下戸なので代わりに僕が」

奥さんとして、強くないけど飲めます・・・って言ったほうがいいのかな。庇ってくれる陶史郎さんの体が心配になる。助けてもらうばっかりで、奥さんらしいことは一つもできてない。

「樹、そろそろ一花も起きるから先に戻ってなさい。・・・玉置、頼むよ」

お酌に来る人が途切れて、陶史郎さんがよそ行きの優しい声で言った。正座で脇に控えてた玉置さんが立ち上がると、クーハンを静かに持ち上げ「お送りします」と促された。

始まって一時間も経ってなかった。一花が起きる時間じゃないのは陶史郎さんも知ってるけど、せめて邪魔になるよりいい。お義母さんにだけ小声で挨拶して離れへ戻った。

「若は樹さんを邪魔にしたわけではありませんよ」

陶史郎さんには思ってることをよく当てられる。玉置さんもやっぱり心が読める人だった。