お昼過ぎから屋敷のお座敷で新年会が始まった。
上座に横並びでお義父さん、お義母さん、陶史郎さん。端に自分と、持ち運びできるクーハンに寝かせた一花。奥まで伸びた両脇の座卓は、見分けのつかない黒いスーツの人達で埋まってる。
お義父さんからは、『赤ん坊がやかましかったらさっさと連れてけ』って言い渡されてる。もちろんそのつもりで、今は昼寝中の一花に少しほっとしてた。
起きて愚図りだせば、どう考えても陶史郎さんは娘を最優先すると思う。今日は支倉組ばかりじゃなく兄弟分の組の人も来てるのに、お客をほったらかしたらお義母さんに迷惑がかかっちゃうんじゃ。
「美人なお嬢じゃねぇですか。先が楽しみってもんだ」
「早いとこ、跡目の顔も拝ませてもらわねぇとなぁ」
「心配ねぇでしょう、こんな若い嫁もらっちゃあ」
徳利を手に見慣れない顔が集まって、上機嫌で陶史郎さんに声をかける。
「子供は授かりものですしねぇ」
注がれた盃を口に運びながら、作った笑い方の陶史郎さん。
「こんなに可愛いなら、もっと早くもらうべきだったかな。僕の生き甲斐ですよ、樹と一花が」
「すっかり骨抜きかい!」
近くからも冷やかすように笑い声が湧く。
上座に横並びでお義父さん、お義母さん、陶史郎さん。端に自分と、持ち運びできるクーハンに寝かせた一花。奥まで伸びた両脇の座卓は、見分けのつかない黒いスーツの人達で埋まってる。
お義父さんからは、『赤ん坊がやかましかったらさっさと連れてけ』って言い渡されてる。もちろんそのつもりで、今は昼寝中の一花に少しほっとしてた。
起きて愚図りだせば、どう考えても陶史郎さんは娘を最優先すると思う。今日は支倉組ばかりじゃなく兄弟分の組の人も来てるのに、お客をほったらかしたらお義母さんに迷惑がかかっちゃうんじゃ。
「美人なお嬢じゃねぇですか。先が楽しみってもんだ」
「早いとこ、跡目の顔も拝ませてもらわねぇとなぁ」
「心配ねぇでしょう、こんな若い嫁もらっちゃあ」
徳利を手に見慣れない顔が集まって、上機嫌で陶史郎さんに声をかける。
「子供は授かりものですしねぇ」
注がれた盃を口に運びながら、作った笑い方の陶史郎さん。
「こんなに可愛いなら、もっと早くもらうべきだったかな。僕の生き甲斐ですよ、樹と一花が」
「すっかり骨抜きかい!」
近くからも冷やかすように笑い声が湧く。



