今日は満月がとても美しい月夜なのに、
心がどうしようもなく汚い感情で
いっぱいだ‥‥‥

「ねぇ‥スズ‥私ね、今日とても
 頑張ったんだ。少しでも気が緩むと
 泣いてしまいそうだったから‥‥。」

美しい白い毛並みを優しく撫でると、
私の膝の上で丸まり眠そうに欠伸を
して見せてくれた

泣いたところでどうにかなる問題でもなく、耐えるしかないのよね‥‥

話せば話すほど気になり、気付けば
目で追ってしまい、笑顔が向けられると
胸が熱くなる

使用人は主人に誠実に向き合うこと‥‥
ミヤさんにそう言われて今日までやって
きたが、この気持ちが消えない限り
私は誠実に向き合えない

ここに来てとても幸せだと思ってる‥‥

苦しい事も嫌な事もあったけど、
それでも旦那様に会えた人生を
なかった事になどしたくない

「‥‥‥ッ‥‥ウ‥‥ウゥ‥‥」

『鈴子?』

ドクン

嘘!‥‥なんでこんな時間に旦那様が
ここにいるの?

慌てて涙を拭い立ち上がろうとしたが、
膝の上で眠るスズを落とすわけにもいかず顔を背けた