『毎日夜にここに来るといい。
 俺が少しずつまずはそうだな‥‥
 字の読み書きを教えよう。』

えっ!?
旦那様が‥直々に?

「あ‥ありがたいお話ですが、
 特別な事をされない方がよろしい
 かと思います。」

『何故そう思う。』

「旦那様はハル様と婚約されている
 身です。秋にはご結婚されるでは
 ありませんか?何もないとはいえ、
 私が旦那様と使用人という立場
 以外で二人きりになるのは、相手側
 の事を考えますと良い事ではありま
 せんから‥‥」

ハルさんの忠告を忘れてはいけない‥

私は使用人として旦那様のお世話を
する役割があるのみだ。

『‥‥鈴子はハルと俺が結婚したら
 心から喜んでくれるかい?』

ドクン

心からって‥‥そんなの‥‥
そう思うしかないのに、どうして
そんな酷な事を聞くのだろう‥‥ッ

あの日車の中で抱き締められた事が
思い出され、また胸が苦しくなる。

『鈴子‥‥俺は‥』

『ここにいらしたのね‥』

ハルさんッ‥‥‥!!