今まで頂いていた使用人用の着物も
私には充分すぎるほどだったのに、
差し出された真新しい着物と白地の
エプロンに驚いた。

『旦那様のお世話係ともなると、
 その格好ではお客様に失礼に
 あたります。部屋の掃除だけで
 なく、お世話というからには、
 様々な事をする上で、鈴子の
 行動が旦那様の品位を下げかねない
 ことを頭に入れておくように。
 鈴子なら大丈夫でしょう。』

「はい‥ありがとうございます。」

上質な生地の着物に改めて身が引き締まる思いだったが、ミヤさんからの丁寧な
教えを一つひとつ頭に入れながら日々
頑張ろうと思えた。


『追々その都度教えていくので、
 分からない事はすぐに聞きなさい。』

そうして、次の日から今までの生活とは
考えられないような日常が始まり、
最初は慣れずにミヤさんにお叱りを
受けることもあったが、少しずつその
生活にも慣れていった頃だった。