「ハル様、仕事が残っておりますので
 失礼します。」

『‥‥待ちなさい。』

えっ?

上品なドレスの擦れる音に体がビクっと
反応すると同時に体が強張る

仲良くしてくださった方なのに、
いつからか冷たくなってしまった。

それからは、身分のこともあり、
ハルさんに自分から話しかけること
が出来なくなっていたのだ。

『鈴子さん‥‥あなた旦那様に
 どう取り合ったというの?』

えっ?

ゆっくりとこちらに近づく足音にさえ、
両手に力が入ってしまうほど緊張感が
増していく。


取り合う‥‥?
一体何のことを仰っているのだろうか?

「わ‥わたくしは‥何も‥」

『何も?ならどうしてあなたにだけ
 こんな特別な待遇がされるの?
 まさかとは思うけれど、あなた‥
 旦那様をお慕いしてなどいないで
 しょうね?』

「そんな‥‥滅相もございません。
 私は旦那様に使える使用人です。」


口とは裏腹に、心の中を見透かされて
いるようで怖かった‥