目の前で倒れてしまって、嫌な思いをさせてしまったと思うし、ただの使用人に
使わなくても良いお金をきっと沢山使わせてしまった。

私は旦那様に迷惑ばかりかけてしまう‥

お金を返し終える事が出来たら、ここを
去った方がいいのかもしれない‥‥


『鈴子?話す時はどうするべきか
 覚えているか?』

ドクン

「‥‥ッ‥以前と状況が違います。
 旦那様はご結婚される方です。
 私のような者と今後関わると、
 ハルさん‥ハル様にも嫌な思いを
 させてしまいます。」


旦那様とのたった一つの約束‥‥。
それすら私にはとても守れなくて
ごめんなさい‥‥だって私は‥


『鈴子』

ドキッ

目の前に旦那様が来た気配を感じながらも、瞳を閉じ頭を上げなかったのは、
旦那様が私に笑ってくれた優しい顔を
いつまでも忘れたくなかったからだ

(ミャア‥)

‥‥‥えっ?

揃えて床につけていた両手に感じた
違和感と、聞こえるはずのない鳴き声に
ゆっくりと頭を上げると、開いた
瞳の先に真っ白な子猫が見え、私の
手を舐めてくれていた。