いつものように井戸水を桶に入れて洗濯場へ何往復もしながら運んでいると、
いつもの使用人の服装ではなく、綺麗な
着物で着飾った美しいハルさんがそこに
立っていた。


「ハルさん‥どうされましたか?」

『ふふ‥私ね、行儀見習いを終えて
 ようやく圭吾さんと来年の春に結婚
 する事が決まったのよ?』

‥‥‥えっ?

バシャ


「ッ!も、申し訳ありません!!」

手の力が抜け落ち、持っていた桶を
その場に落とした私は、あろうことか
ハルさんの着物の裾を濡らしてしまい、
慌てて持っていた手拭いで着物を拭こうとした。

『圭吾さんに頂いた着物になんて
 ことをッ‥‥‥謝りなさい!!』

ビクッ!!

以前ここで旦那様といる所を見られて
以来、ハルさんの風当たりはなんとなく
キツくなっていたことには気付いていた

でもやましい事など一つもない‥

だから、話しかけてもらえなくても、
使用人としていつも通り働くしか
私には出来なかった。