私とは生きている世界が違う方なのに、
少し優しくされたからといって、一瞬でも馬鹿な思いを抱いてしまった。


教養も、育ちも、何も取り柄のない私が
元々関わってはいけない人なのにだ。


『圭吾さん行きましょう?』

『‥‥ああ‥分かったよ。』

目に込み上がる意味のない涙を堪え
ながら無心で洗濯物を洗う私は、
2人の足音が遠ざかるのを背中で
感じ、聞こえなくなったらその場で
膝を抱えて酷く落ち込んでしまった

今度こそもう話す事もないだろう‥‥

ハルさんの大切な方なら尚更私が
先程のように接してはならない。


大丈夫‥‥今まで通り‥‥


「ッ‥‥フッ‥‥ウゥ‥‥」

変えることの出来るもの、変えることの
出来ないものがあるとハッキリと思い
知らされた。私は下女でしかないのだと

それでも、旦那様という存在を少しだけ身近に感じることを知ってしまったから、ツラく涙が溢れるのかもしれない

‥‥‥いっそ、あの手の温もりなど知らなければこんな気持ちにもならずに済んだのにな‥。