心音が耳に大きく響きながらも、
ゆっくりと顔を上げると、瞑っていた
瞳を恐るおそる開けた。


『フッ‥‥‥それでいい。これからは
 俺と話す時は必ず目を見なさい。』

ドクン

目の前で笑う旦那様は、見てはいけないほどの美しい男性だと思えた。

私には眩し過ぎる程のお方だと‥‥

『‥‥名前を教えてくれないか?』

「えっ?あ‥スズ‥鈴子と申します。」

『鈴子か‥‥良い名だ。』


えっ?

真っ直ぐと私を見つめる綺麗な瞳に
耐えられず、俯くと頭を下げると、
頭に旦那様の手がそっと触れた。

心臓がどうにかなってしまったの
だろうか‥‥。胸が苦しいや‥‥‥。



『圭吾さん?何をされているの?』

ビクッ

まるで夢から覚めるかのように現実に
引き戻されると、旦那様の手がスッと
頭から離れた。


『ハルか‥‥。なにか急な用でも
 あったのかい?』

えっ!?ハルさんが何故こんな所に?

目を合わせていたなんてバレたら、
仲の良いハルさんでも関係なく
規則を破ったと叱られるだろう

咄嗟に一歩後退りをして頭を下げる
ものの、怖くて心臓の鼓動は先ほど
より早まっていた。