再逢  小指の約束

「‥失礼致します。」


一礼をしてから部屋に入り、静かにドアを閉めると、広い素敵な応接室の奥に
いた男性が振り返った。


「本日はお忙しい中お時間を作って
 いただきありがとうございます。
 鳥山 叶香と申しま‥‥す‥。」


あれ‥‥‥‥‥なんだろう‥‥‥‥

目の前に立つ男性に初めて会うにも
関わらず、心臓が鷲掴みされたように
苦しくなり、目が逸らせない‥‥‥


『鳥山さん、お待ちしてました。
 総支配人の日髙 暁人です。』


‥日髙‥‥?

本人がそう名乗っているのに、何故
違うと思うのだろう‥‥。


『君‥‥‥何故泣いて‥』


‥‥えっ?私‥‥泣いてる‥の?

慌てて手の甲で頬に触れると、本当に
泣いてしまっていたようで、慌てて
ポケットからハンカチを出しそこを
押さえた。