「‥‥‥あ‥‥‥あの‥‥」

どうしようッ‥‥
震えが‥‥治らない‥‥‥


『フッ‥‥困ったな‥これほどとは。』


‥‥えっ?

目をギュッと瞑ると、次の瞬間温かい
温度に包まれると懐かしい香りに少し
ずつ体の力がほぐれていくようだった


圭吾さんに一度だけ抱き締められた
あの一瞬の幸せが蘇り、啖呵をきった
ように涙が溢れ出てしまう


本当は‥もう一度こうして欲しかった
のかもしれない‥‥

手が届かない愛しい人が、自分ではない
人を愛しているのを知っていた。

叶うはずはない身分の差と、報われない
恋心をずっと閉まって生きてきた。

せめて愛する圭吾さんにだけは幸せになって欲しかったのに、彼の愛しい人に
取り返しのつかない事をしてしまった
のも私だ‥‥

だから‥‥私にはこんなふうに抱き締めて貰える資格なんてない‥‥

そう分かってるのに、この腕の中が
温かくて幸せな気持ちで満たされて
しまう