再逢  小指の約束

ただいま‥‥
なんて言ったらおかしいのかもしれないけど、何故かここがまるで帰るべき場所
なのではないかと思えてしまう‥‥


『おや‥‥お客様かな。』

「えっ!?あ‥‥ち、違います!!
 ッ‥私はここに面接に来た者です。」


麦わら帽子を被り、首にタオルを巻いた
お爺さんが、台車に花の苗らしき物を
沢山乗せていた。


『ほほ‥そうかい。そりゃあご苦労
 さん。受付でそう言えば案内して
 貰えるよ。お嬢さん、検討を祈る。』


ふふ‥‥お嬢さん‥って‥‥。
私今年で27歳だけどね‥‥。


「ありがとうございます。」


何処からか届くフリージアの香りを
鼻から胸いっぱいに吸い込み扉を
開けると、たった一度しか訪れていない
にも関わらず、懐かしさに胸が詰まった


エントランスから広がる2階に続く
アーチ状の階段。ゴルトゥーグ産のペルシャ絨毯、美しいフレンチアンティークの家具。それに加えて控えめに流れる
古いレコードの音楽。


そのどれもが、来た人を魅了する‥‥