再逢  小指の約束

リラックスするどころか、彼を目の前
にすると緊張しかない。

スッと体を離した日髙さんに、目線だけ
で上を見上げると、また笑った気がした


『2階にコインランドリーがあります
 し、必要な着替えや軽食はホテル内で
 も購入可能です。そちらは22時まで
 なので。ではお部屋の鍵はテーブルの
 上に置いてありますので、今日は
 ゆっくりと休んだください。
 あ‥‥宜しければ朝食もどうぞ。』


爽やかな笑顔を見せた日髙さんが、
美しいお辞儀をすると、部屋から
出て行ってしまった。


面接に来たのに‥‥これじゃあまるで
旅行客と変わらない‥‥


気が抜けたのか部屋のベッドに座ると、
そのまま仰向けに寝転んだ。


一体何を考えてるのか分からない‥‥。

日髙‥‥暁人‥‥恐るべし‥‥‥。


「‥‥‥中身は圭吾さんとは全然
 違う人だ‥‥。」

天井を見つめながら、記憶の中に残る
圭吾さんを思い浮かべると、また目頭が
熱くなり涙が出そうになった。