しかも、出発する直前になって瑆さん
に電話がかかって来て、用事ができた
と足早に自分の車で何処かへ行って
しまい、2人きりになってしまったのだ

嫌でも思い出す鈴子と圭吾さんの
一度きりのデートのような時間に、
支配人を変に意識してしまう‥‥

『鳥山さん』

「えっ!?は、はい!」

『フッ‥‥‥そんなに緊張するな。
 いつも通りでいいから。』

いつもの自分がどうだったかなんて
最早分からないのは、運転する姿に見惚れてしまっているからだ

今更だけど、この高級車の内装も
すごいし、車内もとても綺麗‥‥。
そして、ほのかに香るシトラスウッドの香りは支配人の匂いだ‥‥

考えたくなくても、そんなことばかり
考える変態な自分に、益々冷静で
居られない。

やっぱり断るべきだったな‥‥。

こんな時間‥‥気持ちが今にも溢れて
しまいそうで困る‥‥

鈴子を通して私を気にかけてくれているのは分かるし、素直に嬉しいと感じつつも、私を見てくれているのとは違う気がする

あんな事がなければ、私はただの従業員で、支配人の近くに居られることは
ないと思うから‥‥