「お部屋までご案内致します。」
あれから気持ちに蓋をして、ホテリエに
なる為に仕事だけに集中する日々を数日
過ごしていた。
清掃係、厨房、庭仕事の時は新しい
何かを学べる新鮮な気持ちで楽しく
過ごせていたのに、フロントに来てから
時間が過ぎるのがとても遅く感じている
津野田さん、牧さん、本田さん、林さんみんな良い人たちばかりで、一緒に休憩する事は難しくても少しずつ仲良くなれていた。
「ごゆっくりお過ごし下さいませ。
何かご用がございましたら、内線
1でフロントにお申し付け下さい。」
丁寧に頭を下げると、ドアを閉めてから
溜め息が溢れてしまった。
フロントから離れられるこの時間が1番
気が楽なんてバレたくないけど、戻る
時間になると憂鬱になる時点でそうなのだと思い知らされる
仕方ないけれど、日髙支配人が殆どの
時間を過ごす場所なのだから分かってはいてもツラいのだ
花苑様も帰る気配すらないし、お買い物に少し離れた街まで行っている間が
少しだけ気が休まる



