毎週、水曜日は当たり前に茜部先輩と顔を合わせる。
昼休みは、先に茜部先輩がいて、後から私が。
放課後は、先に私がいて、後から茜部先輩が。
それが当たり前のリズムになってきていた。
隣で、寝てたり読書してたり勉強してたり。
私の、文字でしか知らなかった感情は、日に日に現実味を帯びてきていた。
少し高めだけど落ち着いた声が、耳を心地良くさせるのには難くない。
鼻腔をくすぐる茜部先輩の香りが、心をときめかせる。
話す時に、逸らさず真っ直ぐ見つめてくる瞳に、思わず目を逸らせなくなる。
時々見せる微笑みに、心臓の高鳴りが抑えられなくなる。
家まで送ってくれる、私のスピードに合わせて歩くその姿さえ、ときめいてしまう。
出逢って1ヶ月。
初めての恋をした。



