ある日、廊下である張り紙に気付く。


図書委員になりませんか?


地味で誰が気付くのだろう、この張り紙。

そう思うくらい愛想のない1枚だったけれど、私は挑戦してみたくなった。


書いてあった日の放課後、空き教室に行く。

委員長からの説明があり、作業内容を理解して、当番のくじを引く。


水曜日だ。

席に着いてペアの人を待った。


隣に腰掛けたのは、無愛想な、でも整った顔立ちのクールな男子生徒だった。

私の方を見ることもなく、肘をついて気怠げだ。

ダウナーなイケメン、といえば分かりやすいだろうか。


「はい、お互いに自己紹介してください」


委員長の言葉で、自己紹介の時間となる。


「茜部瑞稀。2年」


私の方を見ることなく、そう言い放った。

彼の方を向いて、


「1年の、胡桃琴葉です。1年間、よろしくお願いします!」


と言う。


視線だけ、一瞬こちらに向けた。

ぺこりとした、気がする。


他のペアは、好きな本の話をしているようだけど、これで終わってしまった。

先が…思いやられる…。