心の音-ココロノオト-


「お待たせしました!」


気怠げに待つ茜部先輩。


「遅い」

「ご、ごめんなさい」


本当に責めているわけではなさそうだった。


「でも、どうして当番でもない昼休みに…」

「こうでもしなきゃ、胡桃に会えないから」

「えっ…?」

「最近、昼休み図書室で見かけないし、なんか生意気にも距離置いてくるから」


まるで、私といたいみたいな。

恥ずかしくなって、俯いた。


「俺の存在、迷惑か?」

「全然!むしろっ」


顔を上げた。


「むしろ?」

「嬉しい…です」

「そう」


茜部先輩はほんの少しだけ優しく微笑んだ。


特に話すわけでもないけれど、一緒にご飯を食べて、図書室に行く。

隣の席で、本を読む。

読書をするその様子さえ画になる。


あーずるいな。

私ばっかりドキドキして。