5月末。

体育祭が行われる。

だる…と、まあ適当にやり過ごしていた。

胡桃は何をやるのだろうか。

無意識にあいつのことを考えていた。


何故、胡桃が。


アホくさ。


女子全員参加のダンスで、パッとすぐに胡桃を見つけてしまう。

運動音痴か。

ぎこちないカクカクダンスに、可愛い奴…と、また。


借り物競争にも出ていて、想定通り遅い。

机の上の紙を見て、難しい顔をしている。

そしてキョロキョロして、俺と目が合う。


なんだよ…。


そう思っていると、


「いた!」


と走り寄ってくる。


「…あ?俺?」


おいマジか。

周りの視線が俺に集まる。


この借り物競争、去年もあったが…お題に“好きな人”が数枚混じってることで有名だぞ。


「来てください!お願いします!」


内心喜んでる俺もいながら、


「は…?他にいねーの」


と塩対応。


「茜部先輩しかいないです…!」


なんて言う。

告白…される?

淡い期待を胸に、立ち上がると、俺の手首を掴んで胡桃は走り出す。


「足遅」

「んー!」


反論もできず、悔しそうに声を漏らしながらゴールへ向かっていた。

でもなんだかんだ、3位入賞。