火曜、水曜、金曜以外はバイト尽くしの俺は、ネットカフェの店員として放課後働いている。
合間を縫って、読書をし、バイトの暇な時も読書。
そんな少し忙しい俺にとって、何故か水曜日は、心が躍る日になっていた。
「お疲れ様です、先輩」
昼休みにおにぎりでも食べたのか。
それで、先輩である俺より先に来ないと、と急いで来たのか。
口元に米粒をつけて胡桃がそこにいる。
俺は失笑しながら溜め息をつく。
「急いで来なくていい、昼休みは人が来ないと言っただろう」
「当番ですから」
真面目なんだな。
「それと、これ」
米粒を取って、パクッと口に入れた。
「15、16の女がやっても恥ずかしいだけだぞ」
数秒、胡桃は理解できなかったのかキョトンとしていたが、理解が追いついた瞬間、顔を真っ赤にした。
「本片付けてきます!」
「うっす」
俺は思わず笑った。
小説以外に、胡桃が少し世界の色を変えてくれてきている気がした。
あいつの周りだけ、色がついているような気がした。
気のせいとは言わせない。



