心の彩-ココロノイロ-


「琴葉、夏休み明けからは俺が17時に迎えに行くから」

「え、いいよ…」

「なに、そんなに先輩と帰りたいの?」

「違うよ、明るいから1人で帰れるってこと」

「嫌だ、俺もう耐えきれない。こんなことしたくなかったけど、毎日報告LINE。1日あったこと、話してもらう」

「え…やだよそんなの」

「なんで?」

「そんな報告するような面白いことないし…」

「面白い話してほしいわけじゃないよ」

「…はは」


だめだ。

笑いを堪えられなかった。


「破滅するカップルだな。まあ好きにしたら?」


彼氏からの束縛、矢継ぎ早な責め、上手くいくわけねーだろ。


「別れたくはないけど…琴葉の言動、不安だよ…」

「…ごめん」

「ごめん、1人で考えたい」


胡桃の彼氏はそう言って、帰っていった。

その背中を胡桃は見送りながら、独白のように


「…愚痴ってもいいですか」


と口にした。