「おめでたい頭だな。…じゃあなんだ、もしお前が俺の彼女だったら。デートでどんな服着させたい?」
もう少し、直接的に聞いてみた。
「せっかくなら、先輩の好きな子とデートする時に使える服だといいですね」
「ああうんまあそうだな」
だめだこいつ、鈍感すぎる。
「好きな子どんなの好きそうなんですか?」
「…知らん。だから、胡桃に組んでくれって言ってんだよ…」
「ああ…」
頭を抱えたくなった。
彼氏も大変だな。
ただ胡桃は、ちゃかちゃかアイテムを手に取り、手渡してきた。
「コーデ組むの速っ」
「試着してきてください」
カーテンを閉めて、特に文句も無く着る。
バックプリントの濃いめの水色で襟だけ黒いシャツ、ブラウンのチェック柄のストレートパンツ、黒のローファー。
「着替えた」
「開けますねー」
胡桃はカーテンを開けて、俺をまじまじと見る。
「…なんか言えよ」
「素敵です」
「自画自賛じゃん」
つい笑う。
「チェックのボトムスにローファーで、今しか出せない学生らしいイマドキ感出てて、狙ったいい感じ出てます!」
「ああ、そう」
はしゃいでいる胡桃がどこか愛おしかった。



