土曜。
なかなか来ない電車に苛立っていた。
駅に着き、急いで階段を降りると、私服姿の胡桃がいる。
「悪い、電車遅れてて、遅刻した」
機嫌が悪いような顔などは1つせず、
「遅延してたんですか?」
「遅延証明出ないくらいの小さな遅れだけど。ごめん、待たせた」
「いつも図書委員の時、私の方が後なので、先に来られて満足です」
笑顔を見せてきて、面食らった。
「ふーん、あっそう」
面白くない反応をしてしまう。
「お金、ちゃんと持ってきました?」
「あるに決まってんだろ…」
ショルダーバッグから封筒をチラリと見せる。
「じゃあ行きましょ!」
なんとなくいつもより楽しげな胡桃。
「楽しそうだな」
「え?学校以外で、学校の人と出かけるのってワクワクしません?」
まあ、俺からしたら胡桃だからな。
でも、肯定するのは悔しくて。
「…別に」
と答えていた。



