好きってこういうことか。 ふっと心にぽっかりと空いていた穴に収まった。 俺は立ち上がって、後ろから本を押す。 「横着するな。無理に背伸びすると、腰痛めるぞ」 「えっ、あっ…すみません、ありがとうございます」 彼氏は他校の生徒だ。 こうやって、校内で困ってる胡桃を助けられるわけじゃない。 毎週こうやって確定的に顔を合わせるわけでもない。 会おうと思えば毎日会える。 勝てると思った。 「まあ、可愛いんじゃないの。次は踏み台使えよ」 受付へ帰り様に、そう言った。