真意を探ろうとわたしが口を開こうとしたその時、背後から足音が聞こえたことで、わたしは王妃の膝から起き上がり、彼女の横に座り直す。
(……ああ。やってきたのね)
王妃が人払いをしたこの場において、割って入れるのは彼女の『身内』くらいだ。彼は呆れてたように溜息を吐き出して、エリザベスに声を掛ける。
「義母上(ははうえ)。リリーを休ませるとおっしゃっておりましたのに、先程よりも彼女の顔が白くなっているではありませんか」
「これはこれは。エドワードが乙女の内緒話に参加するなど、其方にしては珍しいことじゃ。そんなにこの娘が気に入ったかえ?」
振り返って面白そうにからからと笑う声に、エドワードを笑い返すことなく、淡々と答えを口にする。
「話をすり替えないで下さい。僕はただ具合が悪そうだった彼女のことが気になっただけのこと。それ以外の他意はありません」
「其方が相手を慮って様子を見に来ること自体稀なことじゃろうに。しかしお節介が過ぎても逆効果というもの。ゆえに今日のところは退散するとしよう」
王妃が立ち上がったことでわたしも慌てて立ちあがろうとすば、エドワードの手によって制される。
「あの殿下……?」
「具合が悪いのだろう。だったら大人しく座っていればいい。義母上(ははうえ)だって狭量な人物ではない。座ったままでも許してくださる」
「その通り。妾は寛大であるからな。その上、優しくもある。寛大で優しいゆえ――まだ顔色の悪い其方に、今日はこのまま城に宿泊する許可を与えようか?」
あからさまに笑みが深まった王妃の思惑として「ついでにエドワードと親睦を深めて参れ」という目論見が透けて見え、どう断ろうかわたしが迷っている間にエドワードも王妃に同調する。
「……確かに体調もかなり悪そうですし、城の医者に容体を診せて休ませてあげるのも良いかもしれませんね」
あっさりと頷く彼にわたしはなんでこんな時ばかり意見を合わせるのか、と歯噛みしたい思いを必死に堪える。
王族二人からの提案は確実にプレッシャーとなってわたしに伸し掛かるが、ここで受け入れてしまえば、ミアはもちろん、今日お茶会に来ている人達だってわたしが殿下に取り入ったとして心情を下げることだろう。
(わたしはただ波風立てたくないだけなのに……)
ドレスの裾を皺になりそうな程に強く握って、どのような答えを出そうかと考えるだけで頭がひどく痛んだ。
