それから時は流れ、私は20歳になっていた。
あれからずっと私はこの場所で働きながら子どもたちと楽しく過ごしている。
その間に一番変わったことと言えば、今更聖女の力が開花したことだ。
と言っても、それは国を動かすような大きな力ではない。
それに最初に気づいたのはレイ先生だった。
私はよく子供たちと一緒に歌を歌う。
向こうの世界の童謡や遊び歌などを歌うと皆喜んでくれたからだ。
私が歌うと皆が元気になる。
体調の悪かった子まで不思議と急に元気になるものだから、ある日レイ先生が言ったのだ。
「ひょっとして、それがリオの力なのでは?」
「え?」
「歌で奇跡が起こっているのかもしれませんよ」
(歌で……?)
確かに、セヴェル城で歌なんか歌ったことはなかったけれど。
「歌で皆を元気にする。なんとまぁ素敵な力じゃないですか」
――これが、私の力……?
なら、私は偽聖女などではなく、本当に聖女だったのだろうか。
でもだからといって、今更あの城に戻る気はさらさらない。
今はここが私の居場所だ。
これからも出来る限りずっとこの場所で子供たちと笑顔で過ごせたらいいと思っていた。
でもこの場所では突然の別れがよく訪れる。
これまでで一番悲しかったのは、アキくんとの別れだ。
アキくんは最初の頃なかなか私に心を開いてくれなかったけれど、徐々に、本当に少しずつ、私をこの家の一員だと認めてくれるようになった。
それがわかったのは私がここに来て丁度一年目の記念日だった。



