「それは大変でしたねぇ」
沈痛な面持ちでそう言ったレイ先生を見て、私は目を大きくした。
「信じて、くださるんですか?」
すると先生はふっと笑った。
「嘘をつくのなら、普通もっとマシな嘘を考えるでしょう」
……それは、確かにそうかもしれない。
異世界から召喚された、なんて突拍子がなさすぎる。
「それに、私には貴女が悪い人には見えない」
「……あ、ありがとうございます」
また涙が出そうになってしまった。
そして、更にレイ先生は続けた。
「どうでしょう。行き先がないのなら、ここで働いてみませんか?」
「え……?」
「セヴェル城みたいな贅沢は出来ませんが、私ももうこんな歳ですからね、君みたいな若い子が手伝ってくれると色々と助かります」
あまりに良い話過ぎて、すぐには反応出来なかった。
でも徐々に顔が赤くなっていくのが自分でわかった。
ガタンっと勢いよく椅子から立ち上がり、私は深く頭を下げていた。
「精一杯働きます! よろしくお願いします!」
その途端のことだった。
「やったー!」
「リオ姉ちゃん、これからずっとうちにいるの!?」
「今日は私がリオ姉ちゃんの隣で寝るんだからね!」
いつから聞いていたのか子どもたちが一斉に私に飛びついてきて、可愛くて、嬉しくて、思わずまた涙が溢れてきてしまった。
――こうして、偽聖女としてポイ捨てされた私にも居場所が出来たのだった。



