ポイ捨てされた偽聖女ですが、歌の力が開花したので子供たちと楽しく過ごそうと思います。


「そんな……」

 確かに、子どもたちは皆不思議なほど私に懐いてくれた。
 先ほども一緒に寝ようよと誘われ、今夜は女の子たちの部屋で眠ることになったのだ。
 元々子供は好きだし好かれて嬉しかった。

 ただ、アキくんだけはずっとぶすっとした顔をしていて、まだ私のことを信用してくれていないのがわかった。
 でもそれが普通なのかもしれない。私はいきなり現れた得体の知れない女なのだから。

「アキのことは気にしないでくださいね」
「あ、いえ……」
「この家では色々な事情を抱えた子供たちを預かっています」

 なんとなく、そういう場所なのだろうなと感じてはいた。
 年齢もそうだけれど、髪色や目の色など皆バラバラだからだ。
 向こうの世界でいう児童養護施設みたいなところなのだろう。

「あの子はここで一番年上でね、兄貴として皆を守ろうと気を張っているんですよ。なのに貴女が大人気なものだから、面白くないのでしょう」

 そうしてレイ先生は可笑しそうに微笑んだ。

「あの、おかしなことを訊くんですが、ここってセヴェルですか?」
「いいえ、ここはセヴェル王国ではなく、その隣のアレルト皇国です」
「アレルト皇国……」

 私がその名を小さく繰り返していると、先生は言った。

「貴女にも何か事情があるようだ。良かったら話してもらえませんか?」
「え……?」
「お力になれることもあるかもしれない」

 そう優しく言ってもらえて、私は少し迷ったけれど話すことにした。

「信じてもらえるか、わかりませんが……」

 そう前置きをして。
 この優しい人なら信じられると思ったから。

 ――そうして、私はこれまでの経緯をレイ先生に話していった。