レイ先生と呼ばれた白髪交じりのひょろりと背の高い男性はとても優しそうな顔をしていた。
「何かお困りですかな?」
その穏やかな声音に、私は思わず泣きそうになりながら頭を下げていた。
「すみません! もしご迷惑じゃなかったら今夜一晩だけ泊めてもらえないでしょうか?」
「はあ!?」
そう声を上げたのは先ほどの男の子……アキくんのものだ。
負けじと私は続ける。
「ベッドや布団なんて要りません! 夜風が凌げればどこでも構いませんので」
「うちは宿屋じゃねーんだけどな」
「アキ。……何か事情があるようですね。どうぞ。うちで良ければお入りください」
「先生!?」
「あ、ありがとうございます!」
顔を上げてから私はもう一度深く頭を下げた。
アキくんからは歓迎されていないようだけど、とりあえず今夜は野宿にならずに済みそうで私は安堵した。
「お姉さんだれー?」
「お外で何してたの?」
「変な服〜」
その家の中には子供たちがたくさんいて驚いた。
夕飯時だったのだろうか、2つ並んだ長テーブルに座った10人ほどの子供たちが突然の来訪者を興味津々という顔で見つめてくる。
年齢は皆バラバラ、2歳くらいの小さな子から中学生くらいの子まで様々だ。
その中で先ほどのアキくんが一番年上に見えた。
大人は私を快く迎えてくれた先程のレイ先生と、もう一人エプロンを付けた先生と同じ年ほどのふくよかな女性がいた。



