日がとっぷりと暮れ、辺りが真っ暗になり絶望しかけた頃だった。
「あっ」
漸く向こうにぼんやりと灯りが見えた気がして私は足を速めた。
そして。
(教会……?)
元いた世界でいう教会のような三角屋根の建物が道の外れにぽつんと佇んでいた。
窓からは温かそうな灯りが漏れていて、更には良い香りが漂ってくる。お蔭で、くぅ……とお腹が悲しい音を立てた。
(どうしよう。今夜だけでも泊めてくださいってお願いしてみる?)
勇気は要るけれど、このまま野宿するよりはマシだと思った。
(ええと、入り口はどこだろう)
私は簡易的な柵に囲まれたその敷地内への入口を探した。
と、そのときだ。
バンっと建物の扉が勢いよく開いて心臓が飛び出るかと思った。
誰かがこちらに向かってやってくる。
それは若い男の子のようだった。
背は私と同じくらいだけれど、まだ幼さの残る顔つきを見るにおそらく日本で言う中学生くらい。
しかし私を睨みつけるその翡翠の眼光は鋭く、敵意に満ちていた。
「誰だよお前、さっきからうちの周りをウロウロしやがって」
「あ、す、すみません!」
思わず頭を下げていた。
自分が完全に不審者になっていたことに気付く。
「あ、怪しい者じゃないんです。ただ、」
「どう見たって怪しいけどな。変な格好しやがって。一体うちに何の用だよ」
「え、えっと……」
なんと説明したらいいのか分からずただ焦る。
だって自分の身分を証明するようなものは何も持ち合わせていない。
高校の学生証は一応荷物のどこかに入っていると思うけれど、この世界では意味をなさないとわかっている。
「やめなさい、アキ」
「レイ先生」
見ると、建物からもう一人男性が出てきた。



