そんな、ある日のことだった。
朝から良いお天気でたくさんの洗濯物を外に干していると、前の道を珍しく立派な馬車が通りかかった。
そして、その馬車はうちの前で止まった。
「だれ?」
「なんだろう?」
一緒に手伝ってくれていた子たちが不安そうに私の元に駆け寄ってくる。
まずは御者が降りてきて馬車の扉を開けた。
そこから降りてきたのは立派な服を着た背の高い男性だった。
一目見て、高貴な人だとわかる。
(うちに何の用だろう……)
なんだか胸騒ぎがした。
レイ先生を呼んできたほうがいいだろうかと思った、そのときだ。
「久しぶりだな。リオ」
「え?」
その男性から名を呼ばれて、私は目を瞬いた。
我が物顔でうちの敷地内に入ってきたその人は、私の前に立つと面白がるように口端を上げた。
「わからないか?」
「……?」
私は長身の彼をじっと見上げる。
少し癖のある明るい茶髪に、切れ長の鋭い目。その瞳の色は綺麗な翡翠色で。
その覚えのある色を見て、私は大きく目を見開いた。
「ま、まさか……アキくん!?」
満足そうに頷いた彼は、驚いてぽかんと口を開けたままの私を見下ろし言った。
「リオを迎えに来たんだ」
「え?」
意味が分からなくて呆けた声を出すと、いきなりその手をとられた。
「リオ、俺と結婚して共にこのアレルト皇国を支えて欲しい」
「…………はい?」
――この異世界に来て早3年。
なぜか、この国の皇太子となって帰ってきたアキくんから求婚されました……?



