「我らを謀った偽者め、今すぐこのセヴェルから出ていけ!」
ポイっと、まるでゴミクズのように私は少しの荷物と共に馬車から放り出された。
「陛下のご温情だ。処刑されないだけ有難く思えよ」
そんな捨て台詞を吐かれ、目の前で馬車の扉はバンっと閉まった。
そのままさっさと来た道を戻っていく馬車を私は呆然と見送る。
「えぇー……」
口から漏れたそんな小さな声は冷たい風に乗って虚しく消えていった。
私の名前は柚木凛音。17歳。高校2年生……だった。
3ヵ月前、いきなりこの異世界に『聖女』として召喚され、つい今朝まで『聖女リオ』としてセヴェル王国の城で過ごしていた。
『聖女』とは奇跡の力で国を救うとされる存在らしく、召喚されてすぐはもうめちゃくちゃに歓迎された。
それこそいきなり異世界になんて来てしまった私が悲しむ暇もないほど盛大にチヤホヤ持て囃された。
綺麗なドレスを着せられ毎日豪勢な料理やたくさんのお菓子に囲まれ、皆とても優しくしてくれる。勉強も家事も何もしなくていい。正直最初はマジで天国かと思った。
しかし、私には奇跡の力なんてなかった。
そりゃそうだ。ごくごく普通の、見た目も学力も平均的な平凡JKだった私に、そんな奇跡のような力あるわけがなかった。
でも最初の数日はスマホがあった。
皆その不思議なアイテムに夢中になった。
ライトを付けるだけで驚かれたし、カメラ機能などは奇跡だと大騒ぎになった。
私も得意になって色々な機能を皆に見せた。
しかしスマホの電池が切れ、その奇跡のアイテムはただの板切れになってしまった。
そして私もただの平凡女に成り果てた。



