ありがとうの先に

「笠井、上官の勧めで見合いがあるらしいな。どんな感じの人か聞いているのか?」

あぁ、そうか。そう言うことか。
と、思っていた通りの質問を投げかけられていた。

いつかは来るであろう話。

肩を組まれたまま、ニヤニヤと笑いながら聞いてくる宮島。
嫌な奴じゃないのは、わかっている。
幼き頃から二人で外を駆け回り、嫌だ嫌だと言いながら畑仕事を手伝った。

あの頃が、些か懐かしく感じるほどに大人になった。
「お前にもいつかは来る話だ。祝言をあげる頃にでも教えてやるよ。」

「昔から変わらないなぁ。少しくらい教えてくれよ?」

じゃれ合うのは、今に始まった事では無い。