ありがとうの先に

「宮島ではないか。どうしたんだ?」

その名を呼ぶ青年は、宮島涼太郎。
あぁ、そうか。まだ毎日が幸せなんだ。

そう。第二次世界大戦は、まだ始まらない。
この、日常は以下にして成り立つのか。

平和な明日が来るのが当たり前の毎日。
肩を組み、笑いかけてくる宮島が、それを優しく笑いかけている笠井智也が。
日常の会話をなんと呼ぶんだろうか。

季節は夏。
ヒマワリが咲き誇り、蝉時雨や、茹だるような暑さ。
汗が張り付き、シャツに染み込む。
子供たちは川で魚を釣り、洗濯を干しているご婦人。
日常がそこにある。