今日は、近道して帰ろうか







「ハーーーーナっ」

「楓っ」

「なーに、もう泣きそうになってんのっ」

「だってぇ.....」



桜咲く、土曜日。

早いもので、寒い寒い冬が過ぎ、少しずつ暖かくなってきた今日この頃。

私は、高校生最後の日を迎えていた。



「楓とも、椿とも、今日でお別れじゃん」

「そんな生涯の別れじゃないんだからっ。私なんて、同じ県内じゃん」

「でも、別なもんは別じゃん!」

「はいはい。そんなこと言ったってどうしようもないし、担任が呆れ顔でこっち見てるから、早く並ぶよ」

「うぅ......」



気づけば、いろんなことがあった高校生活だった。

唯一無二の親友ができたり、おかしなループに巻き込まれたり、みんなと違う進路になったり。


楓は、県内の専門学校で美容師としての勉強をするらしい。


椿は、遠くの医大に進む。

いつからそんな夢を持って、そのための勉強をしていたのか。

私は全然気づかなかったけど、以前椿が迷っていた進路は、医大だったのだ。


事故のリハビリもしながらの受験は本当に大変そうだった。

何も出来ない自分がもどかしくて、陰ながら応援することしかできなかった。



その結果が、確か今日わかるんだったっけ。


卒業式の入場の列に並びながら、椿のクラスの方を見てみるけど、椿の姿は見当たらない。



「花野井さん、前見て」



キョロキョロしてると、担任の先生に注意を受けた。

最後の最後の日まで、すみません。