今日は、近道して帰ろうか

*




「牡丹。家に帰ろう」

「服、着替えないと」



目が覚めると、そこは、冷たい椅子の上で。

心配そうにこちらをみる父と母に、私の頭はまだぼーっとしている。



あれ、どこ、ここ。

いつもは、自分の布団の中で目が覚めるのに。


ふと、自分の手のひらを見ると、赤黒くなったそれが固まっていて。

次に、自分の服を見ると、赤黒いそれらは、服にまでついていた。


ぼーっとしていた頭からサーッと血の気が引いていく。



「あれ、なんで.......」

「牡丹......」

「お、父さん、仕事は.....?」

「今日は土曜日だから、休みだよ」

「お母さ、ん、学校は........?」

「牡丹.........。もう、日付は跨いだんだよ」



どうして?

あんなに、あんなに抜け出したいと願っても抜け出せなかったのに。

どうして、繰り返して欲しいと思った時は、時間が進んでるの?

最悪の事態のまま、どうして時間が進んでるの?



「今日は、金曜日じゃないの......?」

「牡丹.........」

「また繰り返してるんじゃ.........」

「母さん、牡丹を一度家に連れて帰ろう」



ねぇ、どうしてよ。

あんまりじゃない。



「ねぇ、椿は.......っ」

「..........っ」



嫌だよ。

嘘でしょ。

ねぇ、嘘って言ってよ。