今日は、近道して帰ろうか






「牡丹。家に帰ろう」

「服、着替えないと」



目が覚めると、そこは、冷たい椅子の上で。

心配そうにこちらをみる父と母に、私の頭はまだぼーっとしている。



あれ、どこ、ここ。

いつもは、自分の布団の中で目が覚めるのに。


ふと、自分の手のひらを見ると、赤黒くなったそれが固まっていて。

次に、自分の服を見ると、赤黒いそれらは、服にまでついていた。


ぼーっとしていた頭からサーッと血の気が引いていく。



「あれ、なんで.......」

「牡丹......」

「お、父さん、仕事は.....?」

「今日は土曜日だから、休みだよ」

「お母さ、ん、学校は........?」

「牡丹.........。もう、日付は跨いだんだよ」



どうして?

あんなに、あんなに抜け出したいと願っても抜け出せなかったのに。

どうして、繰り返して欲しいと思った時は、時間が進んでるの?

最悪の事態のまま、どうして時間が進んでるの?



「今日は、金曜日じゃないの......?」

「牡丹.........」

「また繰り返してるんじゃ.........」

「母さん、牡丹を一度家に連れて帰ろう」



ねぇ、どうしてよ。

あんまりじゃない。



「ねぇ、椿は.......っ」

「..........っ」



嫌だよ。

嘘でしょ。

ねぇ、嘘って言ってよ。