「俺、卒業したら、家出て県外の大学行くんだ」
私から顔を背けたまま、椿は言った。
私も聞いたことの無い情報を。
どうしよう、頭が追いつかない。
だって、ずっと、勝手に、家から通える大学に行くと思ってたから。
同じ大学を、志望してると思ってたから。
........そっか。
あの日、私が椿と一緒に帰る放課後を手放さなくても。
もう半年もすれば、椿が手放してたんだ。
最初から、私たちの放課後は、私たちの遠回りは、無くなってしまうことが決まってたんだ。
「た、たしかに.....それは、簡単に告白、できない、ね」
やだな。変に声が震える。
私の動揺が、椿に伝わっちゃう。
「泣くなよ」
「.......泣いてないよ」
「泣いてるじゃん」
椿が1歩近づいて、私の頬を伝う涙を冷えた指先で拭う。
ただの幼馴染の私ですら辛いのに。
好きな人に.....きっと両思いのその相手に、この事実を伝えるなんて、椿はきっと、すごく辛いだろう。
それなのに、椿の冷たい指先がひどく優しくて。
私は応援の言葉1つ掛けれずに、ただただ泣くことしかできなかった。



