それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 国会の会期中はいわゆる『社交シーズン』と呼ばれ、地方の貴族たちが国会に参加するために王都に集まる。王宮では毎日のように夜会が開かれ、毎年この時期は王都が賑わう。
 例によって叔父とカリーナも社交シーズン中はタウンハウスで過ごしてくれたので、ミレッラにとっては年中社交シーズンでもいいと思っていたけれど、その裏で仕事に追われていた人もいたというわけだ。
 今年の社交シーズンは、ちょうど三カ月後に始まる。
 その時には領地のカントリーハウスにいる叔父とカリーナも王都にやってくるだろう。
 できればそれまでに、叔父の不正を暴いておきたいところだ。でないと、叔父にミレッラの思惑がバレないとも限らない。

「すでに伝えているように、俺は仕事とプライベートは基本的に分ける人間だ。使えないとわかったらあなただろうが追い出す。いいな?」

 仮面の下から、射貫くように見つめられる。確かに仕事とプライベートでは、浮かべる表情も雰囲気も違うようだ。

(おもしろいじゃない)

 この変わりように怯えているようでは、目的を達成するなんて夢のまた夢である。
 ここで恐れているようでは、最初から復讐なんて考えもしなかった。

「もちろんよ。私を補佐官にしたこと、後悔させないであげるわ」

 気合を入れたミレッラは、長い髪を一つに括り、さっそく仕事に取りかかった。