それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 疲れたように嘆息しているロランの背中を眺めながら、ミレッラはリヒトの言葉について考える。

(どういう意味かしら、今の)

 言葉ではなく、態度で量る。
 つまり、言葉よりも態度の方が彼の考えを読み取るのに適しているということか。

「リヒトに何を言われたんだ?」

 隣に並んだ彼を見上げる。
 仮面に隠れていて詳しい表情は読めない。
 彼の言葉は至極当然のことを聞いているけれど、彼の左手はミレッラの腰に回っている。
 ここから推し量れるロランの心情とは、いったい。

(あんなあからさまに殿下が内緒話を仕掛けたんだもの。気になるのは当然だけど、なんで腰に手が回ってるのかしら)

 リヒトは人格者で知られているが、難題を突きつけてくることもあるようだ。

「あなたのことは言葉よりも態度で見るといいって」
「リヒトが?」