それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「会えて嬉しいよ、リステア公爵夫人。ロランは強引で気難しい男だが、一度自分の懐に入れた者には情に厚いところもある。彼をどうかよろしく」

 日の光のように優しい微笑みを浮かべるリヒトを、不躾にもじっと見つめてしまった。
 身内だからといって、必ずしも仲がいいとは限らない。いい例が自分とカリーナだ。
 けれど、彼らは本当に仲がいいのだと察せられた。
 それが、なぜか自分のことのように嬉しい。
 だからだろうか。

「もちろんです、殿下。夫ともども、よろしくお願いいたしますわ」

 貼りつけた愛想笑いではなく、自然と本当の笑みがこぼれたのは。

「じゃ、私は君の奥方に挨拶しに来ただけだから、もう行くよ」

 部屋を出ていこうとしたリヒトが、その途中で「そうだ」と振り返って、ミレッラの耳元に口を寄せた。

「ロランのことは、言葉よりも態度で量るといい」
「え?」

 すっと身体を離したリヒトが、ひらひらと手を振って、今度こそ部屋を出ていった。