それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 最後に頬にキスされて、悲鳴をあげたセレナが濡らしたタオルで拭いてくれる。
 なんとも強烈な個性に目を白黒している間にアンドレは帰っていったが、次会う時があるのなら、その時は絶対にロランに同席してもらおうと心に決めたミレッラである。



 その日の夜、やはり賭けのためにミレッラを抱いたロランに、ミレッラはアンドレの話をした。
 古い友人と聞いたが昔からあんなにテンションが高いのか。距離感がおかしいのも昔からなのか。
 すると、ロランが息を一つ吐いて、ベッドの上でくつろいでいたミレッラの頬にかぶりついてきた。

「急になに!?」
「あいつは昔からかわいいものにキスする癖がある」
「かわいい? まさか私が? そんなわけ……というか、再現しなくても口で言ってくれればよかったのよ!?」

 キスならまだしも、噛みつかれるのは普通にびっくりする。

「覚えておけ。アンドレでなかったらお仕置きだった」
「会話が成り立ってないわ。どういうこと?」
「ベッドの上で、他の男の話はするなと言ったはずだ」

 そういえばそうだった、と遅れて思い出す。
 でも頬のキスなんて、家族ともよくするものだ――と、反論すれば、おそらく「アンドレは家族か?」と返されるに違いない。