それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 自分の後ろに避難してきた彼女を宥めながら、ミレッラは微笑みを貼りつけて言った。

「申し訳ないわね、ミスター・レニィ。私がロランに頼んだのよ」
「『ロラン』!?」

 また急に大声を出されて、背中に隠れていたセレナが大きく肩を跳ねさせる。

「やあだあ! ロラン? ロランって言ったわね? なによもぉー! 見せつけてくれちゃってぇ!」

 何が? と本気で不思議に思ったが、アンドレの勢いに押されて口を挟めない。

「ねえねえ聞いていいかしら? 実はずっと聞きたくてうずうずしてたのよ! 閣下は奥様には優しいの? 閣下にはなんて呼ばれているの? 閣下が求婚したって聞いたけど、夜はどれくらい情熱的なのかしらぁ~! きゃー!」

 あまりのハイテンションについていけなくて唖然とする。

「私ぃ~、実は閣下とは古い友人でぇ。昔っから他人に興味なさそうなあいつが娶った奥様なんて、もう興味津々でぇ!」
「ア、アンドレ様! 奥様が固まってますっ。もう少し遠慮なさってください!」
「あらやだ、ほんと……って何この子ぉー! お肌すべすべ! もっちもち~!」
「奥様に触らないでくださいーっ」

 セレナが必死に止めに入ると、不満そうにしながらもアンドレが離れてくれた。

「今日のところは我慢してあげるけど、次は絶対ドレスをつくらせてね。うふ」